起承転転

キロへ


一年ももう半分が過ぎてしまった、なんていうのは毎年の
常套句みたいなもので、相手に同意をもとめて自分を
安心させたがっているようなところがあるね。
キロ、どこにいますか。元気にしていますか。
ごぶさたしています。


実は、今住んでいるこの部屋を、秋までに出なければ
いけないことになって、少しだけ途方に暮れています。
理由は老朽化による取り壊し。
見た目はそれほど古くも見えないのだけど、まあ、
みばえのいい建物をたてて、もう少し家賃を
取りたいというのが本当のところではないかと思う。


とはいえ、この突然の事態にわくわくした気持ちを持って
いることも事実で、わたしはまだどこへでも行けると思っているし、
どこへでも行くつもりでいる。


これはこないだ人から聞いた話なのですが、福井の永平寺では、
毎年雪の季節に瓦を取りかえるため、「瓦志納」という寄付を
つのっているそうです。そして寄付をすると、寄付をした
その人と、その人にかかわりのあるすべての人々のしあわせを
祈っていただけるそうです。


そういうところに、ひとりでふらりと行ってみるのも
わるくない、と思いました。思いつき程度でいいから、
なにかちょっとした目的がないとひとり旅はむずかしい。
少なくともわたしにはそう思えます。「ひとり旅」が
目的になってしまっては、たぶんだめなのです。


なんだか眠れずにつらつらと書いていたら、朝に近い
時間になってしまった。
ほかにもいくつか書き記しておきたいことがあったのですが、
真夜中の手紙はキケンなのでここまでにしておきます。


恋文の起承転転さくらんぼ(池田澄子


それではまた。
どこにいても元気で。


メートルより


池田澄子句集 (現代俳句文庫)

池田澄子句集 (現代俳句文庫)