向田邦子がお手本

キロへ


昨日は女の子ばかり4人で夜を明かしました。
くだらない、どうでもいい話をいつまでもできる相手がいるって、
しあわせなことです。


くだらない話のなかにも、時折はっとさせられる一言が
散りばめられていたりするんだけど、4人の中にこの春、
結婚する女の子がいましてね、来るべき新婚生活のために
レシピ本をあつめて、日々節約していたりするんだけど、
ふと、生活ってくりかえしなんだよね、って話になってね。


それぞれにきびしさのある職場で頭をフル稼働させて、
家に帰れば自分のための食事をちゃっちゃと作って、
床に山積みの本をぱらぱらめくりながら片付けて、
その間に洗濯機まわして、ゆっくりお風呂につかったら
いつの間にか真夜中で、寝不足のまままた朝が来て。


ここまでやったら、がんばったら終わり、っていうのがない。
「生活」はどこまでもおいかけてくる。
どんなに豪華な夕ごはんをつくっても、朝には消化されて
しっかりお腹がすいているし、どんなにきれいに床を
磨いたってしばらくすればまた埃がたまっていくし、
お風呂でリラックスしても疲れはまたたまるでしょう。


くりかえしを受け入れて、くりかえしをたのしむことが、
なによりもむずかしい、ということで女の子たちはうんうん、と
うなずいたわけです。


結婚をひかえた女の子を前にして、そんな現実的な話を
しなくても、という感じもしますが、新婚初日のレシピを
あれこれ夢想していた彼女に、あこがれをまるごとこめてこの本を。
わたしもずっと手元においておきたいと思いながら、
まだかなわないんです。



向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)


そうやって帰ってきたら、キロから「すばらしい日々」が届いていた。
つみかさねとくりかえし。
ちょっと近いこと考えていたのじゃなーい?
なにをどれだけつみかさねて、くりかえしていくのかなあ。
わたしはキロに会ってから、生活が楽しくなったんです。
それまでは、くりかえしってあきらめのことだと思っていた。


メートルより