向田邦子がお手本
キロへ
昨日は女の子ばかり4人で夜を明かしました。
くだらない、どうでもいい話をいつまでもできる相手がいるって、
しあわせなことです。
くだらない話のなかにも、時折はっとさせられる一言が
散りばめられていたりするんだけど、4人の中にこの春、
結婚する女の子がいましてね、来るべき新婚生活のために
レシピ本をあつめて、日々節約していたりするんだけど、
ふと、生活ってくりかえしなんだよね、って話になってね。
それぞれにきびしさのある職場で頭をフル稼働させて、
家に帰れば自分のための食事をちゃっちゃと作って、
床に山積みの本をぱらぱらめくりながら片付けて、
その間に洗濯機まわして、ゆっくりお風呂につかったら
いつの間にか真夜中で、寝不足のまままた朝が来て。
ここまでやったら、がんばったら終わり、っていうのがない。
「生活」はどこまでもおいかけてくる。
どんなに豪華な夕ごはんをつくっても、朝には消化されて
しっかりお腹がすいているし、どんなにきれいに床を
磨いたってしばらくすればまた埃がたまっていくし、
お風呂でリラックスしても疲れはまたたまるでしょう。
くりかえしを受け入れて、くりかえしをたのしむことが、
なによりもむずかしい、ということで女の子たちはうんうん、と
うなずいたわけです。
結婚をひかえた女の子を前にして、そんな現実的な話を
しなくても、という感じもしますが、新婚初日のレシピを
あれこれ夢想していた彼女に、あこがれをまるごとこめてこの本を。
わたしもずっと手元においておきたいと思いながら、
まだかなわないんです。
- 作者: 向田和子,講談社
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1989/05/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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そうやって帰ってきたら、キロから「すばらしい日々」が届いていた。
つみかさねとくりかえし。
ちょっと近いこと考えていたのじゃなーい?
なにをどれだけつみかさねて、くりかえしていくのかなあ。
わたしはキロに会ってから、生活が楽しくなったんです。
それまでは、くりかえしってあきらめのことだと思っていた。
メートルより