一箱キーワードその4:ブックオフ

kmfar2006-05-04



絵本を中心に売りたかったのですが、
手元の在庫があまりなかったので、
仕入れることにしました。


ブックオフ(通称:ブ)で。


できるだけ均一で手に入れて、
気に入った品物は
少々上のせして、販売する。
せどり、と言ってしまってはあまりにも
気楽すぎて申し訳ない気がする、
一箱古本市のための「ブ」めぐり。
これは。


なんて楽しいんだろう!


ふだんから「ブ」にはよく行きますが、
財布はたいていさみしいですし、大邸宅に住んでいるわけでは
ないので、かわいい!だけではなかなか購入までにいたらない。
しかし、仕入れと称して自分がかわいいと思う絵本たちを、
いったんは自分のてもとに置くことができたわけです。


でも、そこはあくまでも一箱古本市仕入れ、であって、
これを自分の手元にずーっと置いておきたい、という欲求は
不思議とあまりうまれない。
置く場所がない、というのがいちばんの理由かもしれないですが、
この本をほんとうに欲しいひとがいて、その仲立ちを自分が
できるのかもしれない、と想像することがなにより
すてきだと思いました。


それにしても仕入れすぎでは…とあとでキロには言われましたが。
すいません。楽しみすぎました。


一箱古本市が終わってから、まだ一度も「ブ」に行っていません。
なんだか少しさみしくなりそうなので。
うーん、センチメンタル。


写真は、今回の「ブ」均一めぐりのなかで見つけて、
いちばんうれしかった「チッチとサリー」の詞画集です。
中止にならなければ、売れたかなあ。

一箱キーワードその3:箱2号

kmfar2006-05-03



写真が箱2号です。
ひらいた状態です。
見ての通り、本を入れていた
ダンボールではありません。
「お時間ありましたら、
開けてみてください」という
紙をふたの上に貼って、
当日は閉じた状態で本の上に
のせていました。
開けると、するする国旗のように「オクリマスル」と
サムライと、箱の底に語り合っている男女が出てきます。


家を作るときに、設計上はとくに必要のない柱を一本、
見えない場所に立てておくのだという話を聞いたことが
あります。
願かけのようなものなのだと思います。
当初、この箱はオクリマスルの看板がわりにするつもり
だったのですが、作っているうちに箱をひらいて中を
見て、できることならびっくりしていただきたくなり、
えーと、言ってみれば、せまい箱の中にあって
人によってはなんとも邪魔な、無意味な箱になりました。


昼過ぎまでは雨も降っていなかったので、まだ
よかったのですが、雨がふりはじめて傘をさしながら、
箱をあけている苦笑いのお客様を見て、申し訳ない気持ちに
なりつつも、箱をあけるひとの様子を見るのはほんとうに
楽しかった。
あわてて旗をもとにもどすひとや、所在なげにじっと
見つめるひとや、笑ってとなりのひとに話しかけるひとや、
なんというか、なんとも名づけようのない時間が
そこにはあって、手ごろな箱ほしさにコージーコーナーの
抹茶チョコを買って、仕事しながら全部食べちゃって
気持ち悪くなりながら、ばかみたいにていねいにこの箱を
作ったことをよかった、と思ってしまいました。


箱2号をあけていただいたみなさま、ありがとうございました。
来年も参加できるなら、また別の箱を。

一箱キーワードその2:岡崎さん

kmfar2006-05-01



当日の朝は8時起床。
キャスターに1箱と1ボストン、
さらに手持ちの1トートバッグ
みつばちトートさんの
トラベリングトートが大活躍。
残念ながら箱を見に行くことは
できませんでした)と、
とんでもない大荷物で、
オヨヨ書林へ。
見わたすと、みなさんかなりコンパクトな荷物で、
なんだかお恥ずかしく、ボストンバッグをコインロッカーへ
預けるも、結局、昼すぎには出すはめに。


寝不足による疲労と、興奮と不安で、ぼんやりしたまま
開店をむかえる。
このころまでは曇り空もほの明るくて、これなら夕方まで
もつかも、などと思っていました。
一箱古本市初体験のキロは箱めぐりに出発し、さてわたしは
どうしよう、と箱のまわりをうろうろしていると、
角をまがってこちらへ向かってくる背の高いあのひとは。


岡崎さんだ!


均一小僧、岡崎師匠、岡崎先生、岡崎堂主人、古本マイスター、
古本道まっしぐら、数々の異名をほこるあの!岡崎武志さん、
そのひとでした。
わたしは何度か岡崎さんにお目にかかったことがあるのですが、
まだじっくりとお話したことはない。
なのに、岡崎さんの顔を見たら、妙に安心してしまい、
思わずかけよって話しかけると、箱出してるのー? どれー? 
とやさしいイントネーションで、箱の前へ。


ふと気がつくと、オクリマスルの箱から、すでにタンタンの
仏絵本をひろって、小脇にかかえているではないですか。
はやい! なぜか緊張して直視できず、ちらちらと横目で
追う。
お買い上げいただいたのを見てお礼を言うと、買ったよー、と
ふたたびやさしいイントネーション。
写真はそのスリップです。


彷書月刊5月号「岡崎武志古本劇場」をごらんになった方、
たくさんいると思いますが、岡崎さんは年を経て
どんどん、カッコヨクなっていますね。
一箱古本市当日は、ちょっと丈短の、白いジャケットが
とても似合ってらっしゃいました。
シンプルなんだけど、あれはなかなか着こなせないと
思うなあ。


個人賞では、あらゆるひとのあらゆる賞品に岡崎さんの
サインが入っているという、なんともうらやましい事態に。
古本界のアイドル。たいへんな人気ぶりでした。


というわけで、思いのほか早く雨で中止になってしまったのは
残念ですが、岡崎さんに本を買っていただいたのがなによりの
思い出。

一箱キーワードその1:消しゴムはんこ

kmfar2006-04-30



本日から1週間(予定)、
一箱古本市
オクリマスルの目で、
振りかえってみたいと
思います。


オクリマスルのショップカード、
およびスリップについている
赤いサムライは消しゴムはんこです。
写真は景品コースターのしのばずくんといっしょに。
まだ余裕のあった4月24日ごろに、彫りました。
カッターと、キロが小学校のとき使用していたという
「はくぶんの高級彫刻刀5本組」、で彫りました。
こういう、作っている過程を手で感じられるものが
どうしても好きで、手間がかかるのはわかっているのだけど、
やらずにいられない。


前日、ショップカードだけはどうしても作りたい、と
ふたりの意見が一致しまして、当日午前3時ごろから
印刷しはじめて、4時少し前にはんこを押しおわりました。
手作りなので、きれいに押すのにも力加減がむずかしく、
コツをつかんだ!と思ったころにおわりました。
何かで押すことがあるやもしれぬと思い、当日も
かばんにしのばせていたのですが、登場の機会は
ありませんでした。


図案はほかにもあったのですが、現実的に彫れそうなものが
このサムライでした。
オクリマスル、の屋号にかけて、サムライです。
ちなみにサムライと、飛んでいる花は別々の消しゴムです。


ショップカードもだいぶ減っていた。
持って行ってくださったみなさま、眺めてくださったみなさまも
ありがとうございました。


さて、明日のキーワードは「岡崎さん」です。
おたのしみに。

満喫睡眠不足

kmfar2006-04-29



ショップカード作りやダンボールの飾りつけに手間取り、
寝たのは4時過ぎでした。それでもなんとか朝起きて、
重すぎる本を運んで間に合いました。


今日のところは、ビールを飲んで寝てしまいます。
一箱古本市、報告は、明日から少しずつ。


お買い上げいただいたお客様、
本を手にとって心をふるわせて下さったお客様、
雨の中、箱をあけて旗をゆらめかせてくださったお客様、
ありがとうございました。


とても楽しい一日でした。
スタッフのみなさん、店主のみなさん、
お疲れ様でした。

どこにいるのですか、かみさま


明日の天気はどうなっているのでしょう。
連休中はおおむね好天…なんて言って、明日の東京が
いい天気でなければ意味がありません、かみさま。
晴天、とは言わないまでも、せめて雨を降らすのは
夜にしてください、かみさま。
今日は布団が干せるくらいいい天気だったというのに、
かみさまってば。


明日の準備はすでに万端…などと胸をはって
みたいものですが、テーブルの上にまだ、スリップ未記入の
本が残っております。
また、プラスアルファでいろいろ手をつけようと
していたことに、なにひとつとりかかれていません。
ぎりぎりにならないと動かない…しかし!
ぎりぎりになってからあふれ出す、万年一夜漬け人間の
得体の知れないパワーを、ここで発揮しなくてどうする!


というわけでやれるだけのことはやっていきます。
大家さんのみなさま、店主のみなさま、スタッフのみなさま、
そしてもちろんお客さまである大勢のみなさまに明日、会えるのを
楽しみにしています。
だからどうかかみさま。
たくさんの人がたくさんの本をお買い上げになっても
足取り軽く家路につける、せめて夕方まではそんな天気で
ありますように、どうかどうか。
(自作の呪文をとなえる)


Presents

Presents

へんな匂いの花


 リリ子さま。高校時代の春名の手紙の冒頭は、いつもその呼びかけで始まっていた。
 リリ子さま。昨日帰り道に、きれいな花が咲いていたの。それで、腕いっぱいにつんで、家に帰ってから大きなガラスの花瓶にさして、一夜明けたら、部屋じゅうがものすごくくさかったの。あのね、なんと、つんできた花が、ものすごくへんな匂いの花だったのよ。いっけんマーガレットみたいなデイジーみたいな、白くて可憐な花なのに、まあそのくさいことくさいこと。春名より。


夜の公園』(川上弘美)より


子どものころ、隣家の生垣の根もとに咲いていた、
白いハナニラをつんで、手がくさくなったことを
思い出した。


わたしはこんな手紙を、たぶん書いたことがない。
もっと自意識過剰で、どんなふうに書けば相手が
よろこぶかをわかっていた。いやらしーい子どもだ。


おとなになった今のほうが、もう少し力をぬいて
書けると思う。
手紙だとふうとう&びんせんのひらひらした感じに
ちょっと気負ってしまうので、葉書がいい。


どこに行ってもポストカードを買う。
店先で配っている展覧会の案内などの、きれいな
カードもいただいて、ちょっとしたメッセージに
使ったりする。


それはたぶん話せば済むことだ。
でも書く。なんでもない今日のことを。
書きながら自分がどれだけ相手を信じているかを知る。
自分がどれだけ相手に信じてもらいたいか、も。


夜の公園

夜の公園